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2025年9月の記事一覧

【校長ブログ】第2学期始業式 「心遣い」や「思いやり」を忘れずに。

 夏休み中は大きな事故もなく2学期の始業式を迎えることができました。皆さんの元気な姿を見て、充実した夏休みを過ごしたということの確信を得ました。

 さて、9月1日は「防災の日」です。先ほどシェイクアウト訓練をしたと思います。しっかりと自分の身は自分で守る意識を持ってください。今から100年以上前の大正12年(1923年)9月1日午前11時58分に関東大地震が起きました。これによる関東大震災は、自然災害の混乱の中で、根拠のない噂や偏見が広まり、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「暴動を起こしている」といったデマが流され、多くの朝鮮人が暴力によって命を奪われたという事実もあります。この他、1995年(平成7年)1月17日に起こった兵庫県南部地震により起こった阪神淡路大震災、2011年(平成23年)3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震による東日本大震災、直近では、2024年(令和6年1月1日)能登半島沖地震では「放射により髪が抜ける」「ダムが決壊」「人工地震による攻撃」「被災地に窃盗団が集結」「刑務所の囚人が逃げた」などのデマが流れとのことです。こういったデマは、災害という極限状態の中で、人々の不安や恐怖が差別や偏見に変わり、無実の人々を傷つける結果となってしまったことを示しています。

 その要因は、不安と恐怖による情報渇望により、人は危機的状況に置かれると、少しでも安心材料を求めて情報を集めようとします。その過程で、真偽不明な情報でも「信じたい」「共有したい」という衝動が働きます。また、パニックによる判断力の低下により、災害直後は冷静な判断が難しくなり、普段なら疑うような話でも信じてしまう傾向があります。この他、「善意の拡散」などもあります。「助けになれば」と思って、確認せずに情報を広めてしまうケースも多いようです。特にSNSではこの傾向が顕著とのことです。

 対策として、公的機関(自治体、消防庁など)の公式発表を確認すること、情報の出所をチェックし、一次情報かどうかを見極めること、拡散前に「これは本当に必要か?」と一呼吸置くことが大切です。また、偏見や差別は、誰もが無意識のうちに持ってしまう可能性があります。だからこそ、日々の「心遣い」や「思いやり」が、そうした意識を乗り越える力になります。 

 「心遣い」とは、相手の立場に立って考えること。そして「思いやり」とは、相手の痛みや不安に寄り添うことです。私たちは見た目や出身、言葉の違いだけで人を判断してはいけません。誰もが尊重されるべき存在であり、互いに理解し合う努力をすることが、差別を防ぐ第一歩です。災害時だけでなく、日常の中でも、ちょっとした言葉や態度が誰かを傷つけることがあります。だからこそ、普段から「この言葉は相手を不快にさせないか」「この行動は誰かを排除していないか」と考える習慣を持つことが大切です。 

 最後に、この2学期を心遣いと思いやりを忘れず、様々なことにチャレンジし、充実した日々を過ごすことを期待しています。